「親はどんなことに気をつければいいんでしょう?」
先日面談をしたご家庭のお母様から、小中学生の子育て(主に勉強面)について、そんな質問をいただきました。
正解はない前提で、「こうはしないほうがいいと思います」という例をいくつか挙げさせていただきました。すべて、あくまで個人的な意見ですが。
本日はその一部や付け加えた内容をご紹介したいと思います。
手前味噌ではありますが、一応、勉強犬は個別指導で述べ3000人以上の生徒や保護者様を見てきたベテラン教育犬です。子育ての大変さをすべて知っているわけではありませんが、客観的だからこそわかることもあるかと思います。
なので、この記事が何かの参考になれば幸いです。不快になった場合はすぐに閉じて『家族と喧嘩した日に読んでほしい本』の記事を見るのはいかがでしょうか。ちょっと和みます。
また、もしも通塾中や卒業された生徒の保護者の方が本記事を読まれて「あれ?私のこと言われてる?」なんて不安に思う場合は、ご安心ください。基本的に思ったことがあれば直接伝えています。
子どもは、親を映す鏡です。その子どもが、何かしらの困難や問題を抱えている時、その原因が周りの大人にあることも少なくありません。私自身の教訓としても、以下の内容を綴っておきます。
成績が伸びにくい親の特徴 001 大前提を伝えていない
一番大切だと思うことから、述べていきたいと思います。
まずは大前提のお話です。「あなたが居てくれてよかった」と、親が思っていると、ちゃんと子どもがわかるようにしてあげて欲しいということです。
何を当たり前のことを、と驚く方もいるかもしれませんが、これができていないご家族がいることも、残念ながらまた事実です。
基本的にそんなご家庭は塾に子どもを連れてくることがないと思われますが、見かねた祖母や祖父の方が連れてくるケースもあります。
子どもは、愛されて育つものです。「自分はここにいていいんだ」ということを感じられなければ、勉強どころではありません。
もちろん今回の面談ではお伝えはしませんでしたが、これが大前提。格好良く言えば「beの理論」というやつです。
考え方の部分のお話は続きます。
成績が伸びにくい親の特徴 002 誰もがオリンピック選手になれるわけではないことを忘れている
たまに子どもが苦戦している様子を見て、「なんでこんな簡単なことができないのかしら」と不思議がる保護者の方がいます。
また、「塾へ通っているのにオール4も取れないなんて」と(塾に言うのならもちろん大歓迎なのですが)生徒自身に言う保護者の方も。
そんな保護者の方には、こんなお話をします。
「とびきり優秀なコーチをつけたからといって、誰もが100mを10秒で走れるわけでもありません。同様に、小さい頃から頑張っているからといって、誰もがオリンピックの選手になれるわけでもありません。勉強も同じです。必死になって頑張っていることと、結果は別です。オール5が取れないから、オール4が取れないから、頑張っていないわけでは決してありません。人はみんな違いますから」
もちろん責任逃れで言うわけではありません。塾としては、お金をもらってサービスを提供している以上、その上で納得する説明をすることが重要だと考えています。
現在地がここで、この内申やこの点数を取るためにはここまでが必要で、だから今はここを目標にしたほうがいいかもしれません。でも、こうすれば、こうなると思います。だから、いついつまでにこうしていきましょう。
ざっくりですが、こんな感じのお話ですかね。
「こんなこともできないの」と言えば、子どもたちは意欲を失ってしまいます。どうか保護者の皆様におかれましては、子どもの小さな成長を見つけて、昨日より少しでもステップアップしたところを褒めてあげてほしいです。厳しくするのは塾でガツガツやりましょう。
「できる!」「できる!」「できる!」と沢山のできるを見つけていくと、子どもはぐんぐん成長していきます。もちろん人それぞれペースが違いますが。でも、ちゃんと、成長していきます。
成績が伸びにくい親の特徴 003 コミュニケーションが足りていない
次に説明するのはコミュニケーションが足りていない保護者様についてです。
これは主に幼年期の頃のお話です。小学生低学年ぐらいまでのイメージです。思春期なんかになると家でほとんど話さないなんてことも珍しくなくなりますからね。
それではなぜコミュニケーションが必要なのでしょう。
中学生の9科目の礎となる力は、やはり何と言っても国語力です。
国語力とは「相手が何を求めているかを理解し、適当な答えを返す力」です。これは本を読んだり読解問題を解いたり人と話したりすることで伸びていきます。
そう、ですから子どもにとっては幼年期の親(もしくは周りの大人)とのコミュニケーションが重要になります。
親が子どもと様々なコミュニケーションをとることで、子どもの語彙や考え方の幅は広がり、国語力は身についていきます。これが成績アップの一番の土台になるのです。
成績が伸びにくい親の特徴 004 できない時ばかり、かまう
これについては以前『保護者の方に知っておいてほしい家庭学習のコツ』でも説明をしました。
人間どうしても悪いところばかりに注目してしまうもの。子どもが何か問題のある行動をしていれば、注意するのは親の役目でもあります。
でも、そんな時ばかり声をかけられると、子どもは「お、悪いことすればかまってくれる」と勘違いをし、その行動を続けてしまいます。ほぼ無意識的に。
解決策は簡単です。悪い時の注意だけでなく、いいことをしている時にいっぱいかまってあげればいいのです。「ありがとう」「すごいじゃん」「やるね」「お母さん(お父さん)助かってるよ」。たったそれだけでいいのです。
あとは誰でも「やれ」と言われてやるのは楽しくないですからね。子どもが能動的に勉強に向かうように、親の方でも一工夫してあげましょう。期限を伝えたり、一緒にやったり、好きなものをうまく使ったりするのがオススメです。困ったらご相談ください。
成績が伸びにくい親の特徴 005 決めつけている
以前に一度こんなことがありました。
今まで全然勉強をやってこなかった子が、いざ初めて塾へ行き、勉強へのやる気が上がり、一ヶ月とっても頑張ってくれたことや成長した点を報告する面談でのこと。
「いや、◯◯くんすごく頑張ってくれてますよ」という言葉に対して、その面談に同席をしていたお父様が「え?本当ですか?頑張っても今だけでまたすぐダメになると思いますけどね」と返しました。
その瞬間の子どもの残念そうな顔を、今でも覚えています。「いやいや」と言いながら、僕は必死で具体的な説明をしました。彼の中のいい流れをぶち壊さないために。
お父様は謙遜のつもりで言ったのかもしれませんが、一番身近にいる大人に信じてもらえない子どもというのは寂しいものです。子どもは、いや、大人もですが、人は変われることを忘れてはいけません。
逆のパターンもあります。
それは子どもにすごく甘い保護者様です。ある程度の困難は子どもが成長する上で必要なことなのですが、子どもの「疲れた」や「忙しい」を鵜呑みにして、そういった困難や頑張り時を取り除いてしまう方です。
もっと子どもを(上記とは違う意味で)信じてあげたらいいのに、と思うことがあります。「乗り越えられるだけの力を持ってるのになぁ」と。もちろん限界を突破させてくださいという意味ではありませんよ。
ときには子どもの意見を参考にしながら、それでも適度な負荷をかけてあげることも大切だということです。
子どもは、子どもです。知らないことも多く、まだ未来のことが見えていなかったり、そのために何が必要かなんてわからなかったりします。それを見せたり教えたり伝えたりするのが大人の役目。そうやって可能性を広げてあげてほしいのです。
「部活が忙しい」などの言葉を信じて負担を減らすことが、後々の勉強に響くこともあります。
いつでも成長は、苦しみや困難の先にあります。そういった経験を多くしてきた子の方が、そうしてこなかった子に比べて成績を取りやすいのは明白でしょう。自力が違ってくるのです。
「忙しい」「疲れた」が子どもから出てきたら、本当に限界なのか、やり方は他にないのか、子どもの成長のために、まずは選択肢を一緒に探してみてください。
また、とっても余談ですが、いくら生徒が塾の宿題で困っているからといって、助けてあげるのはやめましょう。それで全問正解しても子どもが成長することはありません。
間違いから、生徒の課題を把握するのが私たちの腕の見せ所でもあります。
どうしても助けたい場合は、どこが一緒にやった問題なのかをわかるようにしておいていただけると助かります。
成績が伸びにくい親の特徴 006 親同士の仲が悪い
ちょっとデリケートな話題なので、先に断っておきますね。決してシングルマザーやシングルファザーが駄目というお話ではありません。
大事なのは、一番身近で接する大人たちがどういう関係性でどんな言葉を使って話しているかということです。
親がお互いのことを罵るようなご家庭で育てば、罵るようなネガティブな言葉が子どもの中には植え付けられます。子どもは親の鏡ですから、子どもも外で他者に対して攻撃的な態度や言葉を使ってしまうかもしれません。
逆に、ポジティブな言葉が彩るご家庭で育った子どもは、外でもポジティブな言葉を使います。それがどんないい効果を及ぼすか、なんとなくイメージがつきますよね。
別に「悪い言葉を使ってはいけない」ということではありません。要はバランスの問題です。いい言葉も悪い言葉も、ポジティブもネガティブも、語彙を増やすには大事なもの。でも、どっちの割合が多いほうがいいかというと、私は前者をオススメします。
おわりに
さて、ここまでつらつらと勝手な解釈を述べてきましたが、冒頭のお母様がそんな説明を聞きながら、こんなことをポツリと言いました。
「子どもの人生って、もちろん子どものものですけど、脇役である私たちの働きもすごく大きいんですね」
なんて素晴らしいお言葉でしょう。「お母さん、それブログに載せますね」とその場で承認をもらって、この通りやっと掲載できました。
それで言うと、塾っていうのはだいぶチョイ役になるのかもしれませんが、それぞれの子どもたちの物語を輝かせる最高の働きができるように、一日一日心を込めて臨みたいと思います。
教えるつもりが、教えられた面談でした。
本日もHOMEにお越しいただき誠にありがとうございます。
子どもの物語を、一番近くで見守れるのが、保護者様の特権ですね。
このコラムを書いた人